「強さと脆さ」VI VII 第4象限
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- Опубліковано 5 лют 2025
- セクション6と7は第4象限のお話です。これは後続する反脆弱性のイントロダクション的な位置づけになります。ブラック氏の議論では、「月並みの国」と「勝手な国」という異なる確率分布、つまり隠れた挙動が異なる現象について述べています。これに対し、タレブはさらに「ペイオフの大きさ」を軸に追加し、2次元的な視点を導入しました。この結果、四つの平面に分けられるという話です。
反脆弱性の議論でも述べられていましたが、「測れるリスクを取る方が、取ったリスクを測るより安全だ」という点が重要です。ここでいう測れるリスクが「脆弱性」にあたります。そして、リスク管理において「代用証言」とは、ブラックスワンでも示された「証拠がないこと」と「ない証拠があること」の違いを強調する概念です。
タレブがこの議論を展開した背景には、ブラックスワン出版後に寄せられた批判がありました。彼は「間違っている」と反論するのではなく、「批判者の道具が使えない領域」を示す方が効果的だと考えたのです。このことが「代用証言」を描くモチベーションにつながったのだと思われます。
「四つの象限の分類」
軸は2つあり、1つはペイオフの大小、もう1つはシステムの複雑性です。以下が四つの象限の分類です:
第1象限
単純なペイオフで、月並みの国。これは日常生活というより実験室やシミュレーションの世界。
第2象限
月並みの国でペイオフが大きい。従来の統計手法で対応可能。
第3象限
果ての国でペイオフが小さい。間違いの影響が少ない。
第4象限
果ての国でペイオフが大きく、複雑な世界。この場合、最後にある確率分布を変えることは難しいが、エクスポージャーを変えることは可能。
特に第4象限では、「証拠がないこと」と「ない証拠があること」の違いが顕著になります。この場面で重要なのは、「間違った地図を使わない」こと、そして「予測に頼らない」ことです。
「リスク管理のアプローチ」
タレブのアプローチでは、「何をするか」よりも「何をしないか」を強調します。例えば、否定形のアドバイス(~するな)が有効で、成功するには損失を減らすことが最優先です。また、医学分野では治療による害(医原病)が深刻な問題となりつつあり、これも第4象限に関連します。
さらに、第4象限で重要なのは、長期的な視点を持つことや、試練に耐えうるシステムを構築することです。「無駄を許容する」ことも必要で、最適化しすぎるとシステムの耐久性が失われる可能性があります。
「実践的な指針」
最後に、第4象限における行動指針として以下を挙げます:
間違った地図を使わない。
バーベル戦略を取り入れる。
小さなリスクを分散させ、大きな利益を狙う。
「嵐の前の静けさ」をリスクの欠如と誤解しない。
これらの要点を踏まえ、現代社会の複雑性に対応するための思考法として第4象限を捉えるべきでしょう。