【第6回:般若心経に学ぶ】 花園大学総長 横田南嶺 | 禅・仏教講座「禅とこころ」 2022年12月13日(火)
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- Опубліковано 16 гру 2024
- 「建学の精神」である禅仏教による人格の陶冶をテーマに、「禅・仏教講座」として開設しています。
禅の世界をあらゆる角度から捉え感得するため総長、学長、仏教学科教員を中心に授業を展開し、その他、いす坐禅・読経など実践を行います。
「知識としての禅」から「感じとる禅」への転換をテーマとし、「自分だけにしかないいのちを生きる」ことを目標とした講義です。
※新型コロナウイルスの感染の拡大にともない、花園大学は、ご来場の皆さまの健康と安全の確保、また感染拡大防止の観点から、今年度(2022年度)の「禅とこころ」は、公開講座として一般の方の聴講は、ご遠慮いただく事にいたしました。
なお、学生向けに配信している総長講義のみ、順次公開させていただきます。
■講座動画の補足情報
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花園大学 禅とこころ 般若心経に学ぶ 令和四年十二月十三日
花園大学総長 横田南嶺
無罣礙故。無有恐怖。遠離顛倒夢想。究竟涅槃。三世諸佛。依般若波羅蜜多故。得阿耨多羅三藐三菩提。故知般若波羅蜜多。是大神咒。是大明咒是無上咒。是無等等咒。能除一切苦。眞實不虚故。説般若波羅蜜多咒即説咒曰
掲帝掲帝 般羅掲帝 般羅僧掲帝 菩提僧莎訶 般若波羅蜜多心經
罣礙なきが故に、恐怖あることなく、(一切の)顛倒夢想を遠離して涅槃を究竟す。三世諸仏も般若波羅蜜多に依るが故に、阿耨多羅三藐三菩提を得たまえり。故に知るべし、般若波羅蜜多はこれ大神咒なり。これ大明咒なり。これ無上咒なり。これ無等等咒なり。 よく一切の苦を除き、真実にして虚ならざるが故に。般若波羅蜜多の咒を説く。すなわち咒を説いて曰わく、
ぎていはらぎやてい はらそうぎやてい ぼじそわ
揭帝 揭帝 般羅揭帝 般羅僧揭帝 菩提僧莎訶 般若波羅蜜多心経
心を覆うものがないから、恐れがなく、顛倒した心を遠く離れて、永遠の平安に入っているのである。過去・現在・未来の三世にいます目ざめた人々は、すべて、智慧の完成に安んじて、この上ない正しい目ざめを覚り得られた。それゆえに人は知るべきである。智慧の完成の大いなる真言、大いなるさとりの真言、無上の真言、無比の真言は、すべての苦しみを鎮めるものであり、偽りがないから真実であると。その真言は、智慧の完成において次のように説かれた。
ガテー ガテーパーラガテーパーラサンガテー ボーディスヴァーハー
(往ける者よ、往ける者よ、彼岸に往ける者よ、彼岸に全く往ける者よ、さとりよ、
幸あれ。)ここに、智慧の完成の心が終った。(岩波文庫『般若心経 金剛般若経』)
『般若心経』現代語訳 訳者 佐々木閑先生
「仏になるための最高の智慧の核心を説明するブッダの教え」
観音様は智慧を身につけるためにすごい修行をしました。そして、私たちを形作るすべての要素が、実は実体のない、仮のものだと見抜いたのです。そして、それによってすべての苦しみを消すことができました。
シャーリプトラよ、物質要素は実体のないものです。実体がないという状態が物質要素です。さらに、さまざまな心の働きなどもすべて実体のないものです。
シャーリプトラよ、この世のすべてのものは実体がないのですから、生まれたり消えたり、汚れたりきれいになったり、増えたり減ったりすることはありません。ですから実体がないという状態においては、物質要素も感覚も想念も意志などの様々な働きも、そして認識もありません。眼・耳・鼻・舌・皮膚感覚・心といった感覚器官もありません。色と形・音・香り・味・触覚・思い浮かぶもの、といった認識対象もありません。そして眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識という六種の認識もありません。さらに、煩悩の元凶である無知もありませんし、その無知が消えてなくなるということもありません。以下、その無知から次第に連鎖して、最終的に老いと死という現象もなく、その老いと死が消えてなくなることもありません。この世は苦しみに満ちているということも、その苦しみの原因が煩悩だということも、煩悩をなくせば苦しみが消えるということも、そして、そのためには修行の道を歩まねばならないということも、究極の真理ではありません。空の理解なしで悟りを得ることのできる智はありませんし、そのような智によっては涅槃の獲得もありません。涅槃の獲得がないことにより、仏になることを求める者すなわち菩薩は、最高の智慧の完成を拠り所とするので、心にはなんの妨げもありません。心に何の妨げもないので、恐れがなく、あらゆる誤った考えから遠く離れており、涅槃に入った人なのです。
過去・現在・未来におられるすべてのブッダたちは、この最高の智慧の完成により、この上なく立派な真の悟りを得るのです。ですから次のように了解しなさい。
この最高の智慧の完成は大いなる力を持つ神秘の言葉であり、大いなる知力を持つ神秘の言葉であり、最高の神秘の言葉であり、比類なき神秘の言葉であり、一切の苦しみを鎮め、うそ偽りがないのです。だからこそ、この最高の智慧の完成という神秘の言葉を説いたのです。その神秘の言葉は、次のように表せます。
「行った者よ、行った者よ、悟りの世界へと行った者よ。悟りの世界へと完全に行った者よ。君たちの悟りの境地に幸いあれ。」
以上が、仏になるための最高の智慧の核心を説明するブッダの教えである。