第1348回「布薩の功徳」2024/9/15【毎日の管長日記と呼吸瞑想】| 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師

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  • Опубліковано 9 лис 2024
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    ■管長日記「布薩の功徳」
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    最後に一日のはじまりを整える、呼吸瞑想がございます。
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    日曜説教の午後は、一般の方に向けた布薩を実践していました。
    今月の日曜説教の日も朝は多少涼しくなっていますものの、まだ残暑が厳しい中でありました。
    日曜説教が十時に終わって、十時半から山内の仏日庵の法話にでかけました。
    午前中で二回の法話を務めました。
    その日は関西から人間学塾中之島のみなさんが、二十名ほどお越しくださったのですが、一日行事が立て込んでいて、日曜説教の前に記念写真を撮るだけになってしまいました。
    ご遠方からお見えくださったのに申し訳ないことでありました。
    そうして午後から布薩であります。
    朝早くからいろんな仕事をこなして、法話を二回終えて、汗びっしょりかいて、普通ならかなり疲れてしまうところであります。
    しかし、この布薩をみなさんと一緒に行っていると、疲れもすっかりとれて、体も楽になり、自然体に戻ることができたと感じました。
    自分自身、この布薩の功徳は大きいなと改めて思ったのでした。
    今回の布薩には、なんと鳥取県からわざわざお越しくださった僧侶の方がいらっしゃいました。
    私が午後の布薩にむけて正伝庵を出て信徒会館に向かおうとすると、作務衣を着た僧侶が歩いているのが目にとまりました。
    一見して円覚寺の僧ではないことがわかりました。
    その姿勢、たたずまいから、これはなかなかの人物だろうと感じました。
    そこですぐさまそばにいる修行僧に伝えて、その僧侶を呼び止めてもらってお話をさせてもらおうと思ったのでした。
    わざわざ呼び止めるまでもなく、その方は布薩に参加されるところだったのでした。
    鳥取県から見えたというので、なにかこちらに御用でもあったのですかとうかがうと、この布薩のために来たというのです。
    話をしてみるとまだ三十代ですが、禅宗ではないのですが坐禅もなさっていて、私のUA-camラジオ管長日記などから、西園美彌先生の魔女トレもならっているとうかがいました。
    とても熱心な方であります。
    布薩のあとにもお話させてもらいました。
    こういう熱心な僧侶がいらっしゃると、まだまだ日本の仏教もだいじょうぶのように感じました。
    また私が古武術やヨガなどを教わっている井上欣也さんも見えてくれていました。
    井上さんは、甲野善紀先生のお弟子でいらっしゃいます。
    甲野先生がとても褒めていた方であります。
    今までも葉山の井上さんの教室があってその教室のあとお見えになったことがありました。
    今回も葉山の帰りですかと聞くと、そうではなく、この布薩の為にお越しくださったとのことでした。
    またボディワークを教えておられる方も見えていました。
    みなそれぞれに布薩の良さを感じてくれているのだと思いました。
    今年の一月から始めた布薩の会ですが、一般の方向けに全部で二十七回の礼拝を繰り返すようにしています。
    今回は、布薩の説明をしながら、足首と足の指の運動を行ってみました。
    これがまた好評でありました。
    足の指については西園先生にずっと習って来ていましたので、その大切なことはよく実感しています。
    大勢の方と行うので、あまり細かなことはできないのですが、足首を回し、足の指も一本一本回していって、そして足の裏を手の親指で押してゆくのであります。
    何回も通ってくれている方からは、布薩をみんなで行って大自然に帰ることができて、足の指を一本一本ほぐしてゆくと、余計なものを捨てていくイメージがあって最後は空っぽになったという感想をいただきました。
    やはり少し体をほぐしておこなうと良いようです。
    一般の方と行っている布薩は、はじめに般若心経を読誦します。
    それから礼拝を行います
    まず、南無釈迦牟尼仏と唱えながらゆっくりと三回礼拝し、南無観世音菩薩と唱えながら三拝、そして南無三世三千諸仏と唱えながら三拝で、九拝を行います。
    それから懺悔文を唱えます。
    「我 昔より造るところの諸々のあやまちは」と私が唱えて、皆で「皆、はてしなき むさぼり いかり おろかさによる身(からだ)と口とこころより生ずるところのもの すべて 我 今みな懺悔したてまつる」と唱えて礼拝します。
    これを三回繰り返します。
    懺悔したあとは、三帰依文を三回繰り返します。
    私が「自ら佛に帰依したてまつる」と唱えて、
    みなで「当に願わくは、衆生とともに、大道を体解(たいげ)して、無上心を発さん。」と唱和して礼拝します。
    「自ら法に帰依したてまつる」と私が唱えて、「当に願わくは、衆生とともに深く経蔵に入りて、智慧海の如くならん」と唱和して礼拝します。
    「自ら僧に帰依したてまつる」と私が唱えて、「当に願わくは、衆生とともに大衆を統理して、一切無礙ならん。」と唱和して礼拝します。
    これを三回繰り返しますので、ここでも九拝となります。
    それから「三聚浄戒」を唱えます。
    第一摂律儀戒
    み教えにしたがい 過ちのない行いに 生き
    第二摂善法戒
    み教えにしたがい 善き行いにつとめ
    第三摂衆生戒
    みほとけの作すが如く、いのちと人の世に誠を尽さん
    と唱えます。
    これは簡単にいうと、「悪いことはせず、よいことをして、人にはよくしてあげましょう」ということで、仏教の精神を端的にまとめているものです。
    そして十善戒を皆で唱えます。
    第一不殺生
    すべてのものを慈しみ、はぐくみ育て
    第二不偸盗
    人のものを奪わず、壊さず
    第三不邪婬
    すべての尊さを侵さず、男女の道を乱すことなく
    第四不妄語
    偽りを語らず、才知や徳を騙(たばか)ることなく
    第五不綺語
    誠無く言葉を飾り立てて、人に諂(へつら)い迷わさず
    第六不悪口
    人を見下し、驕(おご)りて悪口や陰口を言うことなく
    第七不両舌
    筋の通らぬことを言って親しき仲を乱さず
    第八不慳貪
    仏のみこころを忘れ、貪りの心にふけらず
    第九不瞋恚
    不都合なるをよく耐え忍び怒りを露わにせず
    第十不邪見
    すべては変化する理を知り心を正しく調えん
    というものです。
    そして最後に「誓いの言葉」を唱えます。
    「私達は、仏陀釈尊の慈悲のこころを学び、慈悲のこころを実践するために修行いたします。仏陀釈尊の弟子として、如何なる理由があろうとも、決して人に暴力、暴言を与えることをいたしません。一人一人の仏心仏性を拝みあい、ここに仏陀釈尊の弟子として恥じることのない、敬愛和合の道場を築くことを誓います。」
    というものです。
    みな仏法僧に帰依することを誓っていますので、仏弟子なのであります。
    仏弟子としてよく生きることを誓うのです。
    そして三拝し、四弘誓願を唱えて三拝します。
    そうして各自三分黙想します。
    その間、各自この戒にもとる行いがなかったか反省し、これから戒にもとる行いがないように心に誓うのです。
    参加された方の感想には、「大切な文言を口で唱え、礼拝を重ねることで、日々の生活の中で忘れがちなことを改めて心に刻み、自分の行いを見直すことができます」と言ってくださったのがありました。
    その通りで、よい言葉を口に唱え、体で礼拝して、心に良い教えを染みこませていくのです。
    この布薩を行うと、ほんとうに爽やかな気持ちになって、もう悪いことはできないような気持ちになるものです。
    これを仏教では「戒体」と言います。
    「戒体」とは岩波書店の『仏教辞典』には、
    「戒の本体。防非止悪の功能を指す。戒律を守ることを誓った結果生ずる、戒律を守り続けさせる原動力を<戒体>という。」
    と解説されています。
    この戒を護り続けようという力が働いてくるのです。
    いただいた感想には体が楽になったとか、中には声がよく出るようになったとか、うれしい言葉がたくさんあります。
    なんといってもやっている私自身がとても身心共に調うのであります。
    布薩の功徳は実に大きいと感じるのであります。
    十月は第二日曜日の日曜説教の午後はすでに別の行事が入っていて、第一日曜日の六日の午後に開催する予定であります。
     
     
    横田南嶺
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    ■撮影対象場所
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