かつては「札付きのワル」今は元犯罪者らを支援する「社長」 人生の“やり直し”を支える取り組み【福岡】 (23/03/20

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  • Опубліковано 20 бер 2023
  • 九州一の歓楽街「中洲」。
    艶やかな看板が並ぶこの町の一角に、ビル管理業を営む「中溝観光開発」はあります。
    ◆中溝観光開発 中溝茂寿 社長
    「前科前歴は12犯くらいあります。7、8回懲役入ってます。全部で22、3年ですかね」
    こう語るのは、中溝観光開発の社長・中溝茂寿さん。
    若いころから犯罪行為に手を染めて、一時期は暴力団に所属していたこともある、いわゆる「札付きのワル」でした。
    過去の乱闘騒ぎで傷ついた右手には、今でもグローブがはめられています。
    先代の社長である父親の他界を機に一念発起し、約10年前に社長を引き継ぎました。
    現在は犯罪歴のある人を雇用して自立を支援する「協力雇用主」として、自身の会社でそうした人たちを雇っています。
    Q.手紙は服役中の人から?
    ◆中溝観光開発 中溝茂寿 社長
    「そうですね、ほとんど服役中ですね」
    彼のもとには、行き場のない人たちから助けを求める手紙が毎日のように送られてきます。
    ◆中溝観光開発 中溝茂寿 社長
    「本人と面接するときに必ず言うんだけど、『家族だよ』『うちの会社に来たら家族の一員』『娘にしろ息子にしろ悪いことした時には怒るし、いいことしたら褒めるよ』って」
    そう話す社長の日課は、必ず朝、管理事務所に顔を出して社員と話しをすること。
    ◆中溝観光開発 中溝茂寿 社長
    「どこに行ってもできるように可能性を少しずつ広げていけ。わかった?」
    社長が声をかけるのは、入社2年目の新井さん(仮名)です。
    ◆新井さん(仮名)
    「1回刑務所に入ったんで。窃盗というか万引きですね」
    仕事を失った苦しさから万引きや窃盗を繰り返し、服役した過去があります。
    出所後入所した更生保護施設のすすめで、中溝社長のもとで働き始めて約2年。
    今では生活も安定し、貯金もできるようになりました。
    Q.バックボーンある方が多いが
    ◆新井さん(仮名)
    「それはあんまりここでは関係ないと思います。元受刑者とかは一切関係なく、ちゃんとしていれば評価してもらえるから働きやすい。(社長は)厳しくもあるんですけど、分かってくれてよく見てもらってます」
    社長のもとで働くのは、元受刑者だけではありません。
    ◆大神さん(仮名)
    「お父さんみたいな感じ。社長のおかげで今があるので、頑張っていこうと思えるようにしてもらえた人ですね」
    彼女は両親からの虐待や確執に耐えられず、自殺未遂を経験しました。
    ◆大神さん(仮名)
    「親はこうしてほしいというのがずっとあって、それを自分の中でためていた。でもそれがある時ぷつっと切れた感じで、『もういいわ』みたいな、投げやりじゃないけど。ため込んでいた精神薬を一気に飲んだ。287錠ですね」
    行き場を失い社長に助けを求めた大神さんを雇って、薬の怖さを伝え続けました。
    ◆中溝観光開発 中溝茂寿 社長
    「いっぺんにやめたら危ないから、徐々に調整していきなさいって話をした。結果、顔色がよくなったし、体調良くなったよな」
    ◆大神さん(仮名)
    「めちゃくちゃ減りました。ここに来た時、(1日)16錠くらい飲んでました」
    いつしか大神さんには笑顔が戻っていました。
    ◆中溝観光開発 中溝茂寿 社長
    「じゃあ今度300錠挑戦してみて」
    ◆大神さん(仮名)
    「お菓子のラムネでいいですか」
    ◆中溝観光開発 中溝茂寿 社長
    「冗談で言ってその時のことを思い出させる。思い出したら、今の自分と考え方と環境も違うから『こうなりたくないな』と考える」
    人生の「やり直し」に全力をそそぐ中溝社長。
    今ではその活動をさらに広げようと、新たな取り組みを行っています。
    ◆中溝観光開発 中溝茂寿 社長
    「『カオサポート博多』という会社ですけど、求人誌を作っている」
    職を探す受刑者と求人をしている企業をつなぐための会社「カオサポート博多」を立ち上げて、制作した求人誌「REBORN」を全国の刑務所などへ無料で配布。
    履歴書には、学歴だけでなく犯歴なども記入が必要で、人間性に応じて適切な協力雇用主を紹介することができます。
    福岡県大野城市にあるリフォーム会社で板金作業をしている千羽さん(仮名)。
    千羽さんもまた、過去を背負い続けるひとりです。
    ◆千羽さん(仮名)
    「暴力団ですよね。佐賀と福岡で活動していました」
    実の兄のように慕っていた兄貴分が殺されたことを機に暴力団を抜け職を探しましたが、待っていたのは厳しい現実でした。
    ◆千羽さん(仮名)
    「人と会うの、しゃべるのはいいんですよ。やっぱり手を見たら向こうから『お断りさせていただきます』と言われるのが当たり前だった」
    途方に暮れている中、カオサポート博多の存在を知り、わらにもすがる思いで中溝社長の元を尋ねました。
    ◆千羽さん(仮名)
    「(中溝社長に)電話したら『いつでも出ておいで』と言われて出ていきました」
    会いに行くと、その日のうちに今の会社を紹介され、その場で就職が決まりました。
    ◆千羽さん(仮名)
    「『うちにおいで』と言われた時はうれしかったですね」
    千羽さんを受け入れた桜井社長も、中溝社長に感銘を受け、カオサポート博多を手伝う協力雇用主のひとりです。
    ◆リフォーム会社「HYUS」 桜井弘幸 社長
    「(中溝社長は)自分にも人にも厳しい。でも厳しさが優しかったりとかすごく感じます。犯罪を犯したからといって毛嫌いするのではなく、1回反省して出てきているので、そういうところをちゃんと見れる会社が1社でも増えればいいなと思います」
    自身の過去と向き合い、周りを巻き込みながら、なんとか「人生のやり直し」を手助けしようとする中溝社長。
    大きな「夢」を語ってくれました。
    ◆中溝観光開発 中溝茂寿 社長
    「小さいところでもいいから、20・30くらいの建物のあるところを買い取って、そういう(犯罪を犯した)方々が仕事も見つける部屋もあるという、安心して生活ができるところを作りたいなというのが僕の今の夢です。絶対現役で行きますよ、死ぬまで。僕が死んだときに『社長!』って言ってそばに来てくれるのが何人いるのか楽しみにしています」

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