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なんて儚い景色だ…………
100文字の物語全てが終わった世界で、君と二人。そのふたつの命しかなくたって、空の美しさは変わらない。ねぇ、これからどうする?君に尋ねる。すると君は、心中しようと手を握ってきてくれる。なんて、これは全部、ただの妄想。
思い出は廃れていく。夕焼けに溶けていく。大切な思い出は消えない、なんて詭弁だった。もう、君の声を思い出せない。君の顔も朧げ。あんなに、大切に思っていたのに。水たまりに映った僕は、ぼたぼたと大粒の涙をこぼしていた。ああ、情けないなあ。「会いたい…」君の笑顔を見たい。君の声を聞きたい。そう、どれだけ願っても、五年間叶わなかった。半ば諦めかけているけれど、この公園跡地に通うのをやめられないのは、どうしてだろう。ある日、いつも通り跡地をふらふらと歩いていると、きら、と光る何かが視界に入った。拾い上げて、ーーーほんの僅か、息が止まった。君の、ネクタイピン。拾い上げたそれを大事に包み込んで、泣く。いつからこんなに弱くなってしまったんだろう。……本当はわかっている、君が消えた日からだ。夕焼けが好きだった君に、届けばいいのに。そう願いながら、僕は昼と夜の狭間の空に手を伸ばした。きら、とネクタイピンが沈む夕日を反射して光る。「……ーーー」名前を呼ばれた気がして、思わず振り返る。けれど、そこには誰もいない。いや、でも。確かに、あれは君の声。もしかしたら、「これ」があれば、君とまた、繋がれる?また、君の笑顔を見られる?暗く陰っていた心に、一筋、光が差した。差し詰めそれは、夕焼け空に輝く金星のよう。また、会えるかな。「提供公園跡地にて、再会を希う」
舞い上がり空に登ってゆく淡い光は、思い出の残滓達だろうか
落ち着くなぁ
題名などに使用しているフォントを教えていただけますか?すごく好きです
なんて儚い景色だ…………
100文字の物語
全てが終わった世界で、君と二人。
そのふたつの命しかなくたって、空の美しさは変わらない。
ねぇ、これからどうする?
君に尋ねる。
すると君は、心中しようと手を握ってきてくれる。
なんて、これは全部、ただの妄想。
思い出は廃れていく。夕焼けに溶けていく。大切な思い出は消えない、なんて詭弁だった。もう、君の声を思い出せない。君の顔も朧げ。あんなに、大切に思っていたのに。
水たまりに映った僕は、ぼたぼたと大粒の涙をこぼしていた。ああ、情けないなあ。
「会いたい…」
君の笑顔を見たい。君の声を聞きたい。そう、どれだけ願っても、五年間叶わなかった。半ば諦めかけているけれど、この公園跡地に通うのをやめられないのは、どうしてだろう。
ある日、いつも通り跡地をふらふらと歩いていると、きら、と光る何かが視界に入った。拾い上げて、ーーーほんの僅か、息が止まった。
君の、ネクタイピン。
拾い上げたそれを大事に包み込んで、泣く。いつからこんなに弱くなってしまったんだろう。……本当はわかっている、君が消えた日からだ。
夕焼けが好きだった君に、届けばいいのに。そう願いながら、僕は昼と夜の狭間の空に手を伸ばした。きら、とネクタイピンが沈む夕日を反射して光る。
「……ーーー」
名前を呼ばれた気がして、思わず振り返る。けれど、そこには誰もいない。
いや、でも。確かに、あれは君の声。
もしかしたら、「これ」があれば、君とまた、繋がれる?また、君の笑顔を見られる?
暗く陰っていた心に、一筋、光が差した。差し詰めそれは、夕焼け空に輝く金星のよう。
また、会えるかな。
「提供公園跡地にて、再会を希う」
舞い上がり空に登ってゆく淡い光は、
思い出の残滓達だろうか
落ち着くなぁ
題名などに使用しているフォントを教えていただけますか?すごく好きです