最古の雅楽録音・平調「越殿楽」

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  • Опубліковано 29 сер 2024
  • ◆演奏は、宮内省式部職雅楽部による明治36年の最古の雅楽録音で、曲目は平調「越殿楽」です。◆
     明治22年に『式部寮御撰定御譜』(通称『明治撰定譜』)の撰定を終了してからわずか14年後の録音であり、現行雅楽の常識を根底から覆す、衝撃的な録音となっています。
     一方、画像は雅楽の歴史的変化を明示するため、平調「越殿楽」二拍子の龍笛譜を比較したものです。
     さて、応仁の乱から大阪夏の陣まで150年近くに及ぶ戦乱の世を経て雅楽は廃れ、太平の世となった江戸時代に復興された時には、旋律だけでなく楽譜のスタイルさえも変わってしまいました。その復興された江戸雅楽のスタイルを受け継いだのが『式部寮御撰定御譜』です。
     そこで、平安時代末期の『龍笛譜』と比較すると、『式部寮御撰定御譜』のこの曲の変化率は100%になります。(総譜字数184、同位同音数0)
     このことから、平調「越殿楽」は鎌倉時代以降に大幅に改作されたことが分かります。そこで鎌倉時代末期の『龍笛要録』と比較すると、『式部寮御撰定御譜』のこの曲の変化率は30.4%であり、他の曲と比べて変化率が極めて低いのです。(総譜字数184、同位同音数128)
     この演奏は、現行雅楽と楽譜は同じでも、作法と奏法が異なります。これは、越殿楽だけでなく、武徳楽、白柱等、他の管絃曲でも同様です。作法とは、龍笛の音頭が演奏する吹き出しの後、一斉に演奏を開始する付け所の位置であり、奏法とは、楽譜に息継ぎ記号のない箇所で行う息継ぎです。
     これは、息継ぎ記号がない奇数拍箇所に斜線を書き込み息継ぎを加える奏法で、明治雅楽では、このようなことをするのは吹き出しだけですが、現行雅楽では曲全体でこの奏法が行われるように変化しています。
     そして、付け所からの演奏速度は明治雅楽の方が約3倍早いのです。というより、現行雅楽の方が信じられないぐらい極端に遅くなっているということなのです。
     すなわち、現行雅楽は、太平洋戦争(大東亜戦争)を契機に、「軽快な明治雅楽から重厚な雅楽へ」と転換を図り、作法、奏法、そして演奏速度を大幅に改変した昭和雅楽であると位置づけられます。(長谷川景光)

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