絵と地形地質 4 丹沢山地
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- Опубліковано 9 лют 2025
- #地形#地質#油絵#塔ノ岳#丹沢#本棚の滝#中川の箒杉
タイトル:絵と地形地質 4 丹沢山地
BGM:tonto(UA-cam Audio Libraryより)
「丹沢山地とは」を簡潔に示すと、「丹沢山地は南の海の火山島を起源とし、プレートに載って日本列島に近づき約500万年前に衝突・付加した地塊であり、その後の急激な上昇と侵食により現在の丹沢山地が形成されています。」
1. 絵について(3点の油絵を用いました)
・絵1 渋沢丘陵から丹沢山地を望む F50号
絵は渋沢丘陵からの丹沢山地の眺めで、丹沢山地に向かって右側の2つのピークは二ノ塔と三ノ塔(左側1,204m)です。三ノ塔から左側奥に続く稜線で最も高い箇所の延長に塔ノ岳(1,491m)のピークがあり、その奥には丹沢山地の主脈が北西方向に延びて丹沢山(1567m)や蛭ヶ岳(1673m)などの丹沢山地を代表するピークが存在しています。
丘陵と山地に挟まれた市街地は秦野盆地の中~西部で、小田急の渋沢駅付近およびその西側に当たります。
・絵2 本棚(ほんたな)の滝 F12号
滝は岩盤を侵食しその位置を後退させるので、谷地形を自ら形成することが一般的ですが、現在の本棚の滝は亀裂に規制されるようにして落下しています。また、滝周辺の壁面は板状の平坦な形状を呈しており崩壊跡であろうと思われます。
滝周辺の岩盤はトーナル岩と呼ばれる花崗岩によく似た深成岩で、西丹沢では広く分布しています。マグマの上昇と固結およびその後の応力の作用で岩体の内部では潜在的な亀裂として形成されていますが、地表近くでは水の浸透などによる風化現象によって不安定な亀裂面として顕在化します。現在でも壁面の裏では亀裂面に水が供給され将来の崩壊面が形成されつつあることでしょう。
・絵3 中川の箒杉 F30号
「中川の箒杉」は神奈川県山北町中川にある樹齢2,000年の古木で、国の天然記念物に指定されています。
この周辺の地質は本棚の滝周辺と同じで、トーナル岩が分布しています。トーナル岩は地下深部で形成された深成岩であり、岩自体の存在が激しい隆起と侵食を物語っています。
2. 地形概要
丹沢山地は神奈川県北西部を主体として東西約40km南北約20kmに広がる山地で、東西に延びる複数の長い尾根とこれと交わる主脈および多くの渓谷より成ります。
丹沢山地の主脈は北西から南東に向かって最高峰(標高1,673m)の蛭ヶ岳(ひるがたけ)・丹沢山(たんざわさん)・塔ヶ岳(とうがたけ)・大山(おおやま)などの丹沢山地を代表するような峰が連なっています。この主脈より西側が西丹沢で、蛭ヶ岳から延びる尾根に檜洞丸(ひのきぼらまる)・大室山・加入道山(かにゅうどうやま)・畦ヶ丸(あぜがまる)などが連なります。
丹沢山地の北縁には桂川(相模川の上流部)の谷があり北側の関東山地に続きます。南西部は酒匂川の谷で箱根火山の北側に続き、南東部は秦野盆地や相模平野で終わります。
3. 地質概要
丹沢や伊豆半島の衝突などを含めて地質的な出来事はプレート説によって説明されています。
かつて日本列島はアジア大陸の東縁で大陸の一部でしたが、約2,000万年前に大陸から分離し、約1,500万年前に日本海の拡大とフォッサマグマの形成が完了して日本列島の原型が生まれました。同じころ、伊豆・小笠原弧がフィリピン海プレートに乗って北上を開始しました。丹沢も伊豆半島もプレートに載って本州に衝突・付加した地塊であり、かつての火山島を起源としています。
丹沢山地の起源は約1,700万年前の南の海で発生した火山島とされています。約1,500万年前の地層からはオウムガイ類・造礁サンゴ類・石灰藻類・大型有孔虫類が発見されており、そのころは熱帯性のサンゴ礁を伴った大きな火山島であったようです。この火山島はフィリッピンプレートに載って北上し、約700万年前には日本列島に衝突を開始しました。約800万年前から370万年前には火山島と日本列島の間の海峡は陸起源の泥岩~礫岩が堆積するような環境になったと考えられています。丹沢山地に分布する、約1,700万年前の海成の火山砕屑岩や火山岩類から約370万年前の礫岩主体の地層を丹沢層群と呼び、全体の層厚は10,000mに達します。
絵1に描かれた丹沢の山並みの大部分は丹沢層群が分布しますが、この風景より左側(西側)の西丹沢(絵2、絵3)にはトーナル岩で代表される丹沢複合深成岩体が分布しています。トーナル岩の分布域を取り巻く丹沢層群は中心から離れるに従って若い地層が分布し同時に地形的には低くなるというドーム状の構造をなしています。
トーナル岩は丹沢が日本列島に衝突したことによって生じた花崗岩質のマグマに由来し、マグマが丹沢層群中に急速に上昇・固結したことによって形成されました。その形成時期は約500万年前から約400万年前とされています。
さらに、約100万年前には伊豆半島が丹沢に衝突し、この圧力により丹沢は急激に隆起し、最近の数十万年の間にますます高くなりました。高くなると侵食が激しくなり地下深くに存在していたトーナル岩などが地表に出現しました。隆起と侵食によって丹沢は現在のような複雑で険しい山容の山地になりました。
4. 参考資料
・石川正弘 谷健一郎 桑谷立 金丸龍夫 小林健太 2016 丹沢山地の地質:伊豆衝突帯のジオダイナミクス 地質学雑誌 第122巻 第7号
・門田真人・三澤良文 2005丹沢山地より産出する中新世八放サンゴ亜綱Heliopora(Pallas)アオサンゴ化石について 「海-自然と文化」東海大学紀要第3巻第3号
・藤岡換太郎・平田大二編著 2014 日本海拡大と伊豆弧の衝突―神奈川の大地の生い立ち 有隣堂
・地盤工学会 関東支部神奈川県グループ編 2010 大いなる神奈川の地盤 その生い立ちと街づくり 技報堂出版
・【折り紙】飛ぶ小鳥 • 【折り紙】飛ぶ小鳥 Origami Flyi...
丹山島と日本列島とのスキマのシワに相模川が流れてるというのは面白いはなし
コメントありがとうございます。面白い話です。丹沢島が現在の丹沢山地で日本列島が現在の関東山地ということで、海から海峡、海峡から相模川に引き継がれたのでしょう。