第1473回「礼拝」2025/1/18【毎日の管長日記と呼吸瞑想】| 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師

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  • Опубліковано 17 січ 2025
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    ■管長日記「礼拝」
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    最後に一日のはじまりを整える、呼吸瞑想がございます。
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    礼拝と書いて一般には「れいはい」と読まれることが多いと思います。
    『広辞苑』にも「れいはい」として
    「①神仏などを拝むこと。
    ②キリスト教の主にプロテスタント教会・聖公会で行う祭儀の総称。」
    と書かれています。
    仏教では「らいはい」と読みます。
    これまた『広辞苑』には、
    「らいはい」として
    「神仏の前に低頭・合掌して恭敬の意を表すこと。」
    と書かれています。
    低頭は「ていとう」とも「ていず」とも読み、頭を下げて敬礼することです。
    合掌は『広辞苑』に
    「両方の手のひらを顔や胸の前で合わせて仏を拝むこと。インドでの古くからの礼法の一つで、南アジアなどでは挨拶にも用いる。」
    と書かれています。
    曹洞宗では、両手を合わせて指先を鼻端に合わせるようにします。
    われわれ臨済宗では胸の前で手を合わせています。
    「合掌」だけでもいろいろ学ぶことがあります。
    岩波書店の『仏教辞典』には、
    「顔や胸の前で両手の掌を合わせること。
    インドで古くから行われてきた敬礼法の一種。
    インド、スリランカ、ネパールなど南アジア諸国では、世俗の人々が出合ったときには、互いに合掌する。
    いわばわが国のお辞儀に相当する。
    中国・朝鮮・日本などでは、仏教徒が仏や菩薩に対して礼拝するとき、この礼法を用いる。
    中国で著された経典の注釈書によると、両手を合わせることは、精神の散乱を防いで心を一つにするためである、と説明されている。
    インドでは、右手を清浄、左手を不浄とみなす習俗があり、これを受けて密教では、右手を仏界、左手を衆生界、5本の指を地・水・火・風・空の五大に配し、合掌は仏の五大と衆生の五大の融合を象徴するとし、成仏の相が示されていると解釈する。」
    と丁寧に解説されています。
    合掌礼拝と用いることも多くあります。
    礼拝については、『仏教辞典』に
    「仏・菩薩や祖師、尊宿(年長・高徳の僧)など、人格的対象にたいして低頭・合掌し敬礼すること。」
    とあります。
    礼拝は低頭、合掌し敬礼することなのです。
    更に『大智度論』には、口で礼をすること、膝を曲げて頭を地面につけない礼、そして頭を地につける礼と三種類説かれています。
    更に「礼拝は恭敬(くぎょう)と信順の心の表現で信仰生活の基本であり、懺悔(さんげ)、祈祷、種々の行法の実習などとともに行われる。
    礼拝行為は本来は個人的なものだが、集団の礼拝儀礼(法会)に組み込まれることも普通である。
    心のあるところおのずと礼拝行為があるが、逆に礼拝行為や儀礼という形によって帰依と信仰の念が増大するものとされ、これは「礼は信なり」といった表現に示されている。」
    と書かれています。
    毎月行う布薩で礼拝するのは、まずは懺悔の気持ちがあります。
    そして仏様を敬い、信じるのです。
    礼拝いう形によって帰依と信仰の念が増大するというのはもっともなことであります。
    礼拝を繰り返すことによって、懺悔の気持ちが深まり、敬うこころ、有り難いという感謝の心が増大するものです。
    更に『仏教辞典』には
    「テーラヴァーダ(上座部)仏教が内心の表白としての礼拝に終始するのにたいし、大乗仏教では外形としての礼拝儀礼を豊富に発達させている。
    インドのヒンドゥー教では、生ける王に仕えるように神像に礼拝するから、もてなしの意味で香・花・水・食事、時には舞踊を捧げる。
    仏教も仏・菩薩像などの礼拝にこの習慣を受けついでいるが、像崇拝の意味は同じでなく、像を通して法とその働きへの礼拝が主で、像そのものの礼拝ではない。」
    と書かれています、。
    大乗仏教で、礼拝が儀礼として行われるようになっていると分かります。
    禅宗では「揖」という礼があります。
    これは「胸の前で組合せた両手を前におし進め、上下させて行う中国の敬礼の仕方。禅門では叉手して体を曲げ、頭を低く下げる。」ものです。
    中国の礼法が伝わったものです。
    「敬礼」という言葉もあります。
    「敬って礼をする」ことです。
    「稽首」とは「頭を地につける挨拶。
    中国における最高の敬意を表す敬礼法で、古くから行われた」ものです。
    今でもこの言葉は手紙文の終わりに用いることがあります。
    「五体投地」はもっとも丁寧な礼拝であります。
    『仏教辞典』には、
    「五体とは全身のこと。
    全身をその前に投げ伏して仏や高僧、師匠などを礼拝する、インドにおいて最も丁重な礼拝の仕方。
    現実には仏像や仏塔、僧侶に対して額と両肘、両膝を地に着けて礼拝する。」
    と解説されています。
    額と両肘、両膝の五体を地面につけて礼拝するのです。
    「頭面礼足(ずめんらいそく)」とも言います。
    こちらは「インドにおける最上の礼法。
    ひざまずいて顔を地面に接し、両掌で相手の足をいただいて、これに顔を接する。
    稽首、五体投地、接足作礼、頂礼などともいう。」
    と『仏教辞典』に解説されています。
    それでは「頂礼」とは
    「古代インドにおける最高の敬礼法で、尊者の足下にひれ伏し、頭の先を地につける。
    仏教でも仏の両足に頭をつけるのを<頂礼仏足>といい、両手両足頭を地につける五体投地は最上の敬礼法とされる。」
    と書かれています。
    「頭面接足礼」という言葉があります。
    『法華経』にも出てきます。
    「頭面に足を接して礼し 心を生じて仏の想の如くすべし」というように使われています。
    正木晃先生の『現代日本語訳 法華経』には、
    「自分の頭にその人の足をのせて敬意をあらわし、心のなかで、 「ああ、この人は如来のようだ!」と思いなさい。」
    と訳されています。
    この「頭面接足礼」から出来たのが真向法であります。
    真向法創始者の長井津先生は、明治二十二年福井県の勝鬘寺というお寺で生まれました。
    大成建設の前身である大倉組に入って一所懸命にはたらいていたのですが、四十二歳の時に脳溢血で倒れてしまいました。
    命は助かりましたものの左半身不随となってしまいました。
    絶望していたときに勝鬘寺にあった「勝鬘経」を読みました。
    そこに「勝鬘及一家眷属頭面接足礼」
    勝鬘婦人と一族・従者達は、頭を仏の足に接して礼拝し、清浄な心を以て仏の真実の功徳を嘆称したてまつったと書かれています。
    長井先生はこの礼拝を行うように努力したのでした。
    腰を屈伸する謙虚なお辞儀の練習を一生懸命繰り返したのでした。
    これが真向法体操の原型となります。
    長く続けるうちに硬かった腰が柔らかに屈伸できるようになり、なんと不自由だった体が、次第に元どおりに動くようになっていったのです。
    昨年から始めた「布薩のすすめ」では、この五体投地の礼拝を丁寧に二十七回繰り返しています。
    呼吸に合わせてゆっくり行いますので、坐禅と同じように心が深く集中されて落ち着くものであります。
    参加くださる方もご満足いただいているようで、毎回大勢集まってくださっています。
    今年も布薩を継続してまいります。
     
     
    横田南嶺
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    ■撮影対象場所
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