Schumann:Adagio und Allegro Op.70 Ernst Ottensamer＆KyokoTakemotoシューマン｜アダージョとアレグロ エルンスト・オッテンザマー＆武本京子

シューマン「アダージョとアレグロ 作品70」Cl.エルンスト・オッテンザマー Pf.武本京子
Schumann:Adagio und Allegro Op.70 Ernst Ottensamer(Cl) 　KyokoTakemoto(Pf)
　
シューマンのピアノ教師の娘だったピアニストのクララは、シューマンと恋愛関係になり、猛反対する父はあの手この手で二人の仲を引き裂こうとするが、彼らは遂に裁判所に頼り、結婚を勝ち取った。しかし結婚生活は苦労の連続で、家計を支え、多くの子どもたちの世話で、クララの心は愛する人と過ごす幸福と現実への幻滅の間を絶えず行き来するようになった。
　家計はクララの演奏収入にかかっているにも関わらず、クララには極力演奏旅行には行かずに家に居て欲しいシューマン。シューマンが作曲に打ち込む間はピアノが使えず、練習時間を確保出来ずに心配するクララ。自分と比べて知名度が低く、世間でしばしば屈辱的な扱いを受けるシューマンの心情にも気を遣わなければならなかった。
　　それでもクララはシューマンを支え、実質13年半の結婚生活の間には8人の子供にも恵まれ、家庭を切り盛りし、コンサートピアニストとしての名声を更に確固たるものとした。もちろんシューマンの作品を巧みにプログラムへ組み込み、その素晴らしさを世間が理解出来るように心を砕いた。しかし、シューマンの精神はだんだんと悪化し、屈折していった。
　アダージョとアレグロ 作品70は、3つのロマンス作品94などと同じ、クララが34歳、シューマンが精神病院に収容される前年の作品である。この苦しく悲しい日々の後、３年後にシューマンが亡くなると間もなく、クララは作曲の筆を折る。その後は演奏活動と教授職に邁進し子供たちを育て、孫たちの面倒も見ながら19世紀をパワフルに駆け抜けた。アダージョは、クラリネットとピアノの音色は、さびしく美しく、哀しいロマンスを語る。アレグロは、そんなはずでなかったのにという感情が激流のように訴える。シューマンとクララの心の叫びである。
　
エルンスト・オッテンザマー＆武本京子デュオリサイタル
Ernst Ottensamer & Kyoko Takemoto Duo Recital
鈴鹿市文化会館けやきホール　Suzuka City Cultural Center Keyaki Hall
♪♪♪哀しいロマンス♪♪♪♪