樋口陽一 東京大学名誉教授 「戦後70年 語る・問う」(27) 2015.7.27
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- Опубліковано 12 гру 2024
- Yoichi Higuchi, Professor emeritus at the University of Tokyo
憲法学者の樋口陽一東京大学名誉教授が「憲法と戦後70年」をテーマに話し、記者の質問に答えた。
司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)
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記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2015年8月号に掲載)
時代は碩学を遊ばせない
教壇で身についた習性か。背後のホワイトボードにまず、政治、憲法、学問を頂点とする三角形を描いた。さて、この3点が生む連関と緊張は? 該博な知識を駆使する樋口ゼミの幕開けである。
安保法制をめぐり、戦後70年の夏があつい。そして憲法の、この大御所も。いつもの穏やかな口調ながら、安倍政権への批判は容赦がない。
立憲主義や「歴史と記憶」への無理解、蔑視。最高裁・砂川判決の独善的解釈。現政権は西欧流の価値観を捨て、アジア型独裁に歩を進めているという。
思考スタイルは外柔内剛といってよい。東日本大震災の後、出身地・東北の復旧に汗した自衛隊員らには深い敬意を示す。だが、「隊の存在と憲法9条に整合性なし」。自説を曲げることはない。9条が隊の暴走を食い止めてきたのだから、と。
国会前のネット世代の集い。「この国の今と将来に自信を持った」。そう述べたという。憲法で最も重きを置く「個人の尊重」(13条)。その理念が醸成した若者たちの自立心に希望の光を見る。
鶴見俊輔、奥平康弘。少し前に、先達と仰ぐ加藤周一。リベラルなリーダーは次々先立った。書斎派を脱し、後を担う覚悟はできたようだ。
齢80。時代は碩学を遊ばせはしない。(敬称略)
朝日新聞出身
田上 幹夫