『イエスの弟子達』 10 ヤコブの活躍 "THE SCRIPTS OF CLEOPHAS" by Geraldine Cummins

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  • Опубліковано 24 чер 2024
  • 『霊界通信 イエスの弟子達』 パウロ回心の前後
     G・カミンズ著 山本貞彰訳
     10 ヤコブの活躍
     当時の教会は、様々な誤解と不信が渦巻いていた。商人は教会の教理がむずかしく、金持ちから財産を巻き上げるたくらみだと誤解していた。また、祭司や長老は、自分たちの権威の座が揺らいでしまうのではないかと心配した。
    「あの連中は、一体どうなるんだろうか」
    とお互いにささやいた。
    「あいつらが、我々に代わって祭司になり、例の犯罪人(イエスのこと)の馬鹿げた話をして民衆をだますつもりなのだ。あいつらの秘密の力は、古代エジプトのものを盗んできたにちがいない。それもエジプトの墓から癒しの秘密を盗んできたのだ。エジプトの墓には、モーセの時代に君臨していたファラオ(王) [#「ファラオ」は底本では「パラオ」] の亡きがらが安置されており、頭の下に巻物があり、そこに秘密が記されているそうだ。モーセもそこから秘密を教わり、それにイスラエルの神の力を加えたのだそうだ。でも、やつらの秘密の力とやらは、どうやら悪魔の仕業かもしれないな」
     こんな風に、人々が集まる所では、とりとめのないことが噂されていたのである。
     さて、獄吏は選びぬかれた者ばかりで、弟子たちは牢獄の中にいるものとばかり思っていた。軍の将校が牢獄に急行して報告をうけた。
    「夜明けにここを通った者は一人もおりません。我々は一晩中見守っておりました」
    と獄吏は報告した。この報告を聞いて、神殿の総代は内心喜んだ。彼はひょっとしたら奇跡が起っているかも知れないと心配していたからである。
     彼が牢獄に来て、中に入ってみて驚いた。なんとそこには人っ子一人見当たらないではないか。まるで砂漠のようであった。獄吏も中に入ってきて驚いた。彼らは一睡もしないで見張っていたことを主張した。総代は頭に血がのぼった。
     弟子たちは、もう神殿の庭で神の教えを説いており、さらに聖霊のお助けによって牢獄から救出されたことを民衆に語っていた。総代は急いで将校を神殿に走らせた。彼らが神殿の庭に近付くと民衆は彼らに言った。
    「おまえたちがこの聖人に手出しをしたら承知しないぞ! 石の雨を降らせるからな!」
     一瞬騒然となった。そこでペテロ、ヤコブ、ヨハネの三人が両手を挙げて静かにするように民衆を促した。静かになったところでペテロは総代に頭を下げて頼んだ。
    「せっかくのチャンスですから、長老たちに教会の教えについて語ることを許してください。そうすれば、あなた方の手を煩わせないで自首するつもりです」と。
     総代もそれがよかろうと言ったので、彼らは急いで集会所に行き、イスラエルの長老も同席した。
     一同が中に入ると、戸が閉められ、権力者たちの態度が急変した。出方によっては告訴して、直ちに裁判にかけてやると脅された。
     そこでヤコブが叫んだ。
    「そんなことをしてごらんなさい。民衆が黙っちゃいませんよ!」
     集会所の外では民衆が喚声を上げていた。権力者を憎む怨嗟(えんさ)の声であった。彼らは将校を押し退けて戸を破らんばかりの勢いであった。
     大祭司が立ち上がる前に、弁護士が厳しい口調で弟子たちを非難し始めた。
    「お前たちは国家を転覆させる陰謀を密かに企てていた。それには、おまえたちの仲間で陰謀に反対したアナニヤという良き証人がいる。彼から全財産を巻き上げようとし、貿易商からは物品をことごとく巻き上げ、商人からは蔵の中のものを出させようとした。しかも共有財産の一部を乞食や泥棒に施して暴動を起こさせようとしていた。これはまさに国家の転覆を狙った陰謀である」
     ヤコブは彼のずるい話法をよく承知していたので、彼は弁護士にアナニヤが財産提供に関する文書を彼に見せたのかと質問した。
     彼はただ口頭でそれを聞いたと答えた。
     ヤコブは大祭司に向かって言った。
    「アナニヤを地獄から呼び戻してください。そうすればこの件に関する証拠が得られるでしょう」
     弁護士がすかさず言った。
    「おまえ達がその男を殺してしまったではないか」
     ヤコブは叫んだ。
    「嘘が自分を殺したのです。あんたも口を滑らして、彼の後に続かないように気を付けるがよい!」
     この言葉に弁護士は身震いした。この聖人なら本当にそれが出来るかも知れないと思ったからである。それでもう二度と口を開かず押し黙ってしまった。彼の両手は震え、顔面は蒼白となっていた。
     ヤコブは落ち着き払って語り始めた。一同はイスラエルで最もずるい弁護士を黙らせてしまったことに驚いた。ヤコブは雄弁に語りだした。まず財産の共有についての教えを説いた。彼はキリストの言葉を引用し、これは国家の法律のようなものではないことを述べた。『カイザル(※1)のものはカイザルにささげなさい。しかし、神のものは神にささげなさい』 (※2) と言った言葉である。ヤコブは言った。
    「イスラエルの人達よ、心に聖霊を迎えず、キリストの教えを受けていない者同士が、どんなに共有しようと努めても、失敗するであろう。せっかくの平等分配も空しくなってしまうであろう。それは欲望が前提になっていて、真理の御霊をもたないからである。それはただ、混乱と騒ぎを招くだけである。
     それにひきかえて、キリストの教会は、天の御国と言うイメージを目指しており、一人一人の心の中に「生命の君」(イエス)の教えをしっかりと持っている。その上イエスは、地上に天の御国をうち建てて、霊による喜びが心の中に溢れるようにしてくださったのである。イエスに従う生活を始めると、ひとりでに美と真理の霊に導かれるようになるのである。
     国家は国家であり、すべての人は国家の法律に従うべきである。しかし、心の内にキリストの恵みを持ち、真理の御霊に導かれるならば、御互いが本当の兄弟のようになり、心から財産を分け合うことができるのである。彼らは平安に満たされ、主の働きのために超自然的な力が発揮されるようになるのである。この様に教会の人々は、キリストの教えたルールを守り、慈愛に満ち、貧しい兄弟たちを助け、すべてのものを愛によって分かち合っているのである。
     世の中には、様々な組合や団体があるだろう。それらはみんな民間の権威者によって運営されており、それぞれの組合や団体には財産や役人が居るものである。しかしキリストの教えに支えられている教会には、そんなものは無く、全く自発的に運営されている。協会には個人を縛りつけるような束縛はなく、男も女もみんな持ち物をなかよく分け合っているのである。持ち物だけではない、様々な働きについても分け合っているのであるが、知恵の霊に満たされている聖徒が采配をふるっていて、決してねたみが起こらないように配慮されているである。人間にとって本当に必要なルールとは、野獣のように(欲望だけで)生きることから向上してイエス・キリストの真理に生きようとすることである」
     以上がヤコブが語った要旨である。彼は聴衆に対して国家と教会を混同してはならない点を明確にした。即ち国家は、国民全体を保護するためにあるものであり、国民の共通の意思や願いにもとづいてことを処理するところである。しかし教会は、内面生活(心)のために存在するもので、天の御国というイメージのもとにあるものである。従って教会は、決して国家をひっくりかえすような陰謀などとは関係なく、むしろ国家を強くするために存在していることを示したのである。ヤコブの明確な説明によって、信者は満足し、市民として果たすべき貢物をカイザルに差し出す準備をした。
    ※1
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    カエサル (称号) - Wikipedia
    ※2
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    皇帝のものは皇帝に - Wikipedia
                   登場人物
    ヨハネ・・・・・・・・・・イエスの最愛の弟子。希にみるすぐれた霊覚者。 ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    ヤコブ・・・・・・・・・・ゼベダイの子のヤコブ。ヨハネの弟。 ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    ペテロ・・・・・・・・・・ja.wikipedia.org/w/index.php?...
    アンデレ・・・・・・・・・ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    ピリポ・・・・・・・・・・ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    ナタニエル・・・・・・・・バルトロマイと改名する。 ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    マタイ・・・・・・・・・・ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    トマス・・・・・・・・・・ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    アルパヨの息子ヤコブ・・・ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    カナン人のシモン・・・・・ユダの友人。 ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    タダイ・・・・・・・・・・ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    ユダ・・・・・・・・・・・盗賊の首領に残された唯一の実弟、イスカリオテのユダ
    マッテヤ・・・・・・・・・ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    アナニヤ・・・・・・・・・ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
    アンナス(ハナン)・・・・大祭司。一般にはハナンという名で知られていた。 ja.wikipedia.org/w/index.php?c...
              〝THE SCRIPTS OF CLEOPHAS”
              By Geraldine Cummins
              First Published February 1928
               PSYCHIC PRESS LTD.
              London, England
    en.wikipedia.org/wiki/Geraldi...
    ジェラルディン・カミンズ - Wikipedia

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