望月将悟 Trans Japan Alps Race 〜無補給 415km〜
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- Опубліковано 9 січ 2025
- 2018年8月12日(日)午前0時。二年に一度開催される『トランスジャパンアルプスレース(TJAR)』が幕を開けた。日本海の富山湾をスタートし、北アルプス、中央アルプス、南アルプスの山々や麓の長いロード区間を通過して静岡県大浜海岸のゴールを目指す。総距離415km、累積標高差2万7000mの道のりを8日間以内で駆け抜ける日本一過酷な山岳レースだ。
このTJARで2010年から4連覇を果たしている望月将悟が、新たな挑戦を決意した。
それは「無補給」。
TJARではルールがいくつも定められている。家族や仲間によるサポートは一切禁止。唯一、装備を補充・交換できるのは一箇所のデポジット地点のみだ。選手たちは山小屋と麓の店舗で食料を購入し、足りない栄養を補給する。
こうした食料調達を、今回、望月は全く行わずに進む。山小屋でうどんを食べることもなければ、町のスーパーでスイカを買うこともない。自動販売機の冷たい清涼飲料で乾いた喉を潤すこともない。
補充するのは「水」だけだ。
この挑戦を決めたのには、理由があった。山の友人として長年付き合いのあるアルパインクライマー・花谷泰広のなにげないひとことがきっかけだ。
「荷物をすべて背負ってチャレンジしてみたら?」
アルパインクライミングの世界では、登山家たちは必要な荷物をすべて自分で背負う。自分の力だけで何もかも完結させねばならない。
「やってみたい」
望月はそう強く思った。その根底にはこんな想いもあった。いま日本の山岳シーンでは「軽量化」が注目されている。なかには自分自身の山の知識や技術以上に装備を削ってしまう人もいる。静岡市の消防士であり山岳救助隊でもある望月は、山で100%の安心安全はないことを身をもって知っている。だからこそ、このチャレンジを通して伝えたいことがあるのだ。山における本当の強さとは何なのか……。
その答えを見つけるために、望月将悟は無補給でスタートした。