[2022, Nov 9] Rimsky-Korsakov:Scheherazade, Op.35

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  • Опубліковано 1 жов 2024
  • マエストロ・フェドセーエフの御歳90歳という年齢と、1974年から、およそ半世紀にも及ぶБСОとの関係が、このような音楽との関わり方へと、音たちへと変化してゆくんだなと、30年近くマエストロの音楽を聴きつづけてきた私は、嬉しい驚きを感じながら、素敵で、誇らしく、そして時に涙を誘われる気持ちで、この演奏に魅入ってしまいました。
    ソ連という時代、70年代から80年代後半にかけての「空気」が、マエストロに対して求めたオーケストラの統率力は、一切の迷いもない鋭くも煌びやかな音たちを生み、胸のすくような思いにさせてくれました。
    そして、本質的にマエストロが持っている温かい人間性が、真に愛情のこもったロマンティシズムをもって表現に加わった、いわゆる全盛期の90年代から21世紀初頭の伝説的な演奏を幾度も生み、特に日本を含めた海外での演奏会で聴衆をうっとりとさせ、また熱狂させました。
    しかし、その後しばらくは、ロシアのスムータと呼べる混乱期に影響されたかのような、精彩を欠く無難で保守的な演奏が増えて、ファンとして、とても悔しい思いをしてきたのも、また事実。
    ある時、こんな残念な気持ちを抱えながらも、それでも大好きなБСОの友人がやってくるということもあって、とある年の来日公演へ行きました。その折、私は90年代のБСОの素晴らしさを、友人である奏者達へ語ったことがあります。その時、トランペット奏者のユーラこと、ユーリィ・アルハンゲリスキィは私に「指揮ぶりが以前と全く変わってしまったの気づいてるか?」と、問うたのが印象に残っています。
    そして同じ時、偶然に横を通りがかった長年オーケストラのピアニスト奏者を務めるハチカーン氏が立ち止まって、こう私に呟きました。
    「オーケストラは変わってしまった。彼ら(新しく来た奏者)は昔の我々を知らないのだよ」と。
    (保守的な演奏が多くなったのは、また、マエストロのウィーン響での首席指揮者兼任の期間とほぼ重っていて、もしかすると生活の主軸をロシアから離してしまったこと、ヨーロッパの一部の音楽批評家によるマエストロの非ロシア音楽の演奏に対する心理的なパージに依るところもあったのではないかと、いくつかのマエストロや奥様へのインタビューからも察することができます)
    しかし、およそここ10年の演奏会においては、マエストロご高齢でありながら、燦然と目を輝かせ、そして、音楽を愛でるように深く身を寄せながら演奏する姿を目にすることが、時折ではあっても見られるようになりました。そして、そんな時、そこから生まれてくる音楽には不思議なことが起こっています。そのご高齢とあまりの音楽を愛でる気持ちからか、オーケストラの統制を欠くことが稀にあり(前述の「指揮ぶりが変わった」どころではなく)、奏者を戸惑わせ、演奏を乱れさせることが稀にあります。
    けれども、奏者の類稀なる技量と、ロシア人特有とでも言うべき、繊細であり、かつ図太くもある不思議な精神力のようなもの、そして御歳90歳を超えて衰えるどころか、むしろだからこそ渇望へと変わったとさえ思える、ひたむきな音楽への気持ちが、この「キズ」を癒すどころか、そんな細事はどうだっていいと、思わせるほどに、何か素晴らしいことが起こっていると、私はそう思い、そして強く感じます。
    この2022年11月9日「シェエラザード」の演奏も、近年では稀に見る好演の一つで、そこには往年のダイナミズムが垣間見られ、また、オーケストラのソリスト達が、これまでにはないほどに自由なパッションで自発的に演奏しているのを目の当たりにすることができ、本当に惹き込まれてしまいました。今回のシェエラザードでも、やはり特にファゴットのシャトコフスキィ(タイトル上 首席奏者ではない彼が1番を吹いている!)が色気のある素晴らしいソロを聴かせてくれますし、トランペットの”サーシャ!”ことアレクサンドル・カズローフは最近多くなってきて妙に嬉しくなるのですが、高揚感極まるパッセージでのヴィブラートに、聴いているこちらの感情がグッと込み上げてきます。また、ヴァイオリンのコスティリョーフの白眉な名ソロの数々は、終演後のステージでマエストロから抱きつかれた挙句に思わず接吻を受けるほどであるのも大いに頷けます(男同士であっても、本当に素晴らしい「何か」に接した時の感情を、思わず顕にしてしまう昔ながらのロシアを思い起こしました!)。
    オーケストラという100人を超えるアンサンブル集団にあって、こんなにも自由な雰囲気を出させてしまうこと、演奏上の「怪我」を恐れずそれを許してしまえるのは、やはり半世紀にもわたるオーケストラとの関係と、御歳によるもの、そして何よりマエストロ・フェドセーエフの音楽へのひたむきな愛情が、90歳を超えてなお(指揮する仕草からは衰えて見えても)その気持ちが渇望の域にまで達したからなのかもしれないと、この演奏を聴いて、そして見て、確信にさえ近い気持ちになりました。
    ありがとうございます、敬愛なるマエストロ ウラディーミル・イヴァーノヴィチ。
    私は、貴方とБСОが顕す音楽に、
    希望と情熱、人としてあるがままの素直さを見い出し、生きているということの1つの、しかし大きな意味を、またも知ることになりました。
    私がこれを曲解せず、また思い出せるよう、ここに勝手ながら記させていただきます。
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    Блестящие и душевные соло в «БСО»
    Скрипка : Сергей Костылев
    Кларнет : Антон Мойсеенко
    Фагот : Иван Шатковский
    Гобой : Олег Панин
    Виолончель : Фёдор Землеруб
    Труба : Александр Козлов
    Большой Симфонический Оркестр имени Петра Ильича Чайковского
    Дирижер : Владимир Федосеев
    9 Ноябрь 2022, Москва
    Концертны Зал им. П.И.Чайковского
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    Brilliant & Soulful Solos in «БСО»
    Violin : Sergey Kostylev
    Clarinet : Anton Moyseyenko
    Fagot : Ivan Shatkovsky
    Oboe : Oleg Panin
    Cello : Fyodor Zemlerub
    Trumpet : Alexander Kozlov
    Grand Symphony Orchestra named after P.I.Tchaikovsky
    Conductor : Vladimir Fedoseyev
    9 Nov 2022, Moscow
    Concert Hall named after P.I.Tchaikovsky

КОМЕНТАРІ • 1

  • @ShinBlueSky2010
    @ShinBlueSky2010  6 місяців тому +2

    ここで書く事ではないのかもしれませんが、マエストロ、どうか日本への長旅はしないで下さい、どうか控えてください。
    レナード・バーンスタインのような事が、もし起こってしまったら、私は耐えられるか分かりません…..前回のN響公演、キャンセルされたと聞いて、正直、そして本当にホッとしました。
    幾年も幾年も!
    Многая лета!