【朗読】中学生までに読んでおきたい「たけくらべ」樋口一葉 令和版 現代語訳

『たけくらべ』（樋口一葉）は、明治時代の下町を舞台にした青春小説で、思春期の子どもたちが抱える葛藤や切ない心情を描いた作品です。
【あらすじ】
物語は、東京の吉原遊郭近くの花街を舞台にしています。そこには、遊郭で働く女性たちや商家の子どもたちが暮らし、遊郭を取り巻く独特の雰囲気が描かれています。主人公は、廓近くの商家「吉田屋」の娘で美しく気の強い美登利（みどり）です。
美登利は、少年たちのリーダー格でありながら、女性として成長していく中で自分の居場所や将来についての不安を抱えています。一方で、寺子屋に通う信如（しんにょ）という少年との淡い恋心が芽生えますが、遊郭の娘という立場や周囲の環境によって、素直にその感情を表現できません。
他にも、町の散髪屋の息子で乱暴者の正太郎や、信如の友人でおとなしい長吉などの個性豊かな子どもたちが登場し、それぞれの成長や心の揺れ動きを描写しています。
やがて、美登利は家の事情で遊郭で働く運命を受け入れざるを得なくなります。その未来を予感しながら、信如との距離が広がっていく切ない描写が物語のクライマックスです。
『たけくらべ』は、子どもから大人へと成長する過程での純粋な心情や、社会的な環境による制約を通じて、人間の繊細な感情を描き出しています。樋口一葉の美しい文体と、登場人物たちの生き生きとした描写が作品の魅力となっています。
【樋口一葉】
樋口一葉（1872-1896）は、明治時代を代表する女性作家であり、日本初の職業作家ともいわれます。本名は樋口奈津で、東京の中流家庭に生まれましたが、父の死後に生活が困窮し、母とともに生計を支えるために苦労しました。わずか24歳の短い生涯ながら、その中で文学に情熱を注ぎ、作品を発表しました。
一葉の作風は、美しい文体と鋭い人間観察が特徴です。吉原遊郭を舞台に人々の悲喜を描いた『たけくらべ』や、貧しい生活の中での葛藤を描いた『にごりえ』など、特に女性の視点から社会や人間関係の本質を捉えた作品が多く、高く評価されています。文学への志を貫いた彼女の姿勢と作品は、明治の文壇に新風を吹き込み、後世にも大きな影響を与えています。
【チャンネル】
中学生までに読んでおきたい青空文庫 令和版
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